演奏活動や教育分野で活躍する、プロのクラリネット奏者12名に聞きました!
200年のあいだフランスで最高品質の楽器を作り続けてきたブランド〈ビュッフェ・クランポン〉。そのクラリネットの中でも、「歴史に名を残す名器」と呼ばれ、ブランドを象徴する代表的な機種、”R13“と”RC”について、プロのクラリネット奏者の皆さんにお聞きしました。
R13
世界的ベストセラー
“R13”とは?
20世紀前半まで、クラリネットの管の内側(内径)は「シリンドリカル」(円筒型)な形状をしていました。1955年、〈ビュッフェ・クランポン〉はこの内径に、より複雑な「ポリシリンドリカル」という画期的な形状を採用。この内径によって、クラリネットの音質や音程が飛躍的に改良され、“R13”は現代のクラリネットの原型となりました。“R13”は今日でもクラリネットシステムの最高傑作と称されており、世界各国のあらゆるジャンルのクラリネット奏者に好まれるロングセラーになっています。
“R13”の特長は、広いホールの隅々まで音を響かせることができる力強い音量や、彩り豊かで輝きのある音色、柔軟な表現力です。
ロベール・カレ
Robert Carrée
1921年に見習い職人として〈ビュッフェ・クランポン〉に入社し、後に伝説の工場長となった設計者。
現代クラリネットの礎を築いた名匠として知られている。
カレが設計した「ポリシリンドリカル」(異なる内径を持つ複数の円筒管からなる形状、多円筒管とも呼ばれる)という内径の形状は、当時のクラリネットの音質や音程を飛躍的に進化させ、その後誕生する全てのクラリネットの内径がポリシリンドリカルになったほどの成功を収めた。
”R13”、”RC”はもとより、現在も〈ビュッフェ・クランポン〉の代表的なラインナップとして世界中の多くの奏者に愛されている”フェスティヴァル””プレスティージュ”などもカレが設計に携わった機種である。
ジャック・ランスロ
Jacques Lancelot
20世紀のエコールフランセーズ(フランス学派)を代表するクラリネットの巨匠。
フランス国立放送フィルハーモニー管弦楽団、パリ・ギャルド・レピュブリケーヌ吹奏楽団など数々のオーケストラ等で活躍した後、次第に活動を室内楽に移し、ランパル(フルート)、ピエルロ(オーボエ)など、20世紀フランスを同じく代表する奏者たちとフランス木管五重奏団を結成。当時の音楽界に大きな影響を与える。1947年にはルーアン音楽院で教授として後進の指導にあたり、その後もリヨン高等音楽院、ニース国際アカデミーなどで指導を行う。
日本のクラリネット界を代表する故浜中浩一、二宮和子、横川晴児、生島繁、武田忠善らが師事し、現在の日本のクラリネット演奏および教育において、大きな流れの源となった。
演奏や教育活動のほかに、楽器の開発や教材の出版、レコーディングによる功績も大きく、クラリネット音楽が近代から現代へと進歩していく過程の中で、常に重要な役割を果たした。
“R13”基本データ
開発年 1955年開発
開発者 ロベール・カレ、ジャック・ランスロ
仕 様 ベームシステム、17キー、6リング / アフリカ産上質グレナディラ材使用 / 洋銀製、冷間鍛造、手工仕上げ、銀めっきキー / 精密特殊加工スティール針ばねおよび板ばね / 調節可能指かけ
価 格 539,000円(税込)
RC
クラリネットの王道
“RC”とは?
“RC”は、“R13”を開発した伝説的な技術者ロベール・カレと、20世紀のクラリネットの巨匠ジャック・ランスロが、“R13”とは全く異なるクラリネットを目指して開発したクラリネットで、世界中で「ザ・クラリネット」とまで呼ばれる名器です。
“RC”の特長は、温かく芯のある音色や、遠くまで通る音の響き、レスポンスの良さと正確な音程です。“RC”は2014年のバージョンアップでベル底部の形が変わり、響きに一層の魅力が加わりました。
“RC”基本データ
開発年 1975年開発
開発者 ロベール・カレ、ジャック・ランスロ
仕 様 ベームシステム、17キー、6リング / アフリカ産上質グレナディラ材使用 / 洋銀製、冷間鍛造、手工仕上げ、銀めっきキー / レザーパッド仕様 / 精密特殊加工スティール針ばねおよび板ばね / 調節可能指かけ / バレル2本
価 格 594,000円(税込)
アーティストコメント
演奏活動や吹奏楽の指導で活躍中の〈ビュッフェ・クランポン〉契約講師の皆さんに、コメントを頂きました!
粟生田 直樹
Naoki Aouda
東京吹奏楽団奏者
長野県小諸高等学校音楽科
非常勤講師
“R13”
バランスが良くエネルギッシュ。輪郭がはっきりしながらも品の良い音色。
“RC”
息を入れやすく、コントロールしやすい。柔らかく心地よい響き。
伊藤 圭
Kei Ito
NHK交響楽団首席奏者
東京藝術大学講師
国立音楽大学講師
東京音楽大学兼任准教授
“R13”
“R13″はクラリネットらしい柔らかな音色を持ち、どんな息に対しても反応し、様々な音楽を表現することが出来る楽器です。
“RC”
“RC”は反応が良く、音の立ち上がりも早くクリア。全ての音域において整った、ムラが少ない響きを持ちます。
大浦 綾子
Ayako Oura
東京佼成ウインドオーケストラ奏者
洗足学園音楽大学客員教授
“R13”
“RC”
“RC”は音色が柔らかくまろやか。音の均一性もgood!
大和田 智彦
Tomohiko Owada
国立音楽大学非常勤講師
一般社団法人日本クラリネット協会
事務局長
ジャック・ランスロ国際クラリネット
コンクール事務局長
“R13”
木のまろやかな音色、重厚感。大ホールでも他の奏者と音を混ぜやすい。
“RC”
明るくソリスティックな響き。ソロ活動や少人数アンサンブルに合う。
勝山 大舗
Daisuke Katsuyama
国立音楽大学非常勤講師
桐朋学園音楽大学非常勤講師
東京都交響楽団奏者
“R13”
“R13“は、音の密度が濃く、心地良い抵抗感と支えがあり、全音域で太く安定した美しい音色を持つ楽器です。
“RC”
“RC”のマイルドで上品な音色は〈ビュッフェ・クランポン〉ならではの美しさがあります。また、息の繊細な変化に応えてくれるスムーズな吹き心地と、楽に吹いても遠くまで届く音質は、幅広い楽器表現を可能にします。
郡 尚恵
Hisae Kori
洗足学園音楽大学非常勤講師
管楽五重奏団「Hana-Emi」メンバー
アンサンブル・パリ・ノルマンディー主宰
“R13”
世界中のクラリネット奏者から愛されているロングセラー。〈
“RC”
“R13”と並び長く愛されているプロフェッショナルモデル。
式部 由姫
Yuki Shikibu
ソロ奏者
“R13”
“R13″は誰もが手にしてすぐでも吹きやすいのに、パワフル。クラリネットらしい音色で、自由に豊かな表現ができ、どんな場所でもしっかりした音が鳴らせます。私も今まででいちばん長い間使用した楽器が”R13″でした。やはりベストセラーですね。
“RC”
“RC”はとても上品でまろやかな音色、均一な音程で、力を入れず楽に、ムラのない音を鳴らすことができます。初めからこの楽器を手にすることができたら最高ですね。
芳賀 史徳
Fuminori Haga
尚美ミュージックカレッジ専門学校本科・アカデミーディプロマ科講師
読売日本交響楽団奏者
“R13”
“R13″は美しく明るい響きが特徴です。表現の幅もあり、楽な吹奏感でしっかり響きを作ることができます。
“RC”
“RC”は音の丸み、まろやかさ、はっきりした輪郭、とバランスがすべて整っています。クラリネットの王道と言えるでしょう。
箱﨑 由衣
Yui Hakozaki
セントラル愛知交響楽団第一奏者
金城学院大学非常勤講師
名古屋芸術大学非常勤講師
“R13”
“R13″は明るく華やかで素直な響きをもち、柔軟性があり、吹き手の想いをそのままに表現できます。
“RC”
“RC”はまるく、あたたかく、深みのある濃密な音色で、木のぬくもりを感じるような楽器です。
林 裕子
Yuko Hayashi
東京佼成ウインドオーケストラ奏者
“R13”
“R13″は、しっかりとしたまとまりのある音色が出せる分、エネルギッシュな表現までこなせる楽器だと思います。
“RC”
“RC”は、柔らかいしっとりとした音質で、吹奏感はR13に比べると軽く、柔軟性に長けた表現が出来る楽器だと思いました。
吉野 亜希菜
Akina Yoshino
桐朋学園大学非常勤講師
東京交響楽団首席奏者
“R13”
“R13″は明るく華やかな響きであらゆる表現ができる機種です。
“RC”
“RC”はあたたかみのある響きで全体のバランスが良い楽器です。
若林 愛
Megumi Wakabayashi
木管五重奏カラフル 代表
Megumi♡Kei メンバー
JPCO(Japan Popular Classic Orchestra) メンバー
君塚Trio メンバー
“R13”
ホールの隅々まで響き渡るような、明るく華やかな音色が特長です。
“RC”
重厚感があり、木管特有のあたたかみ、深み、そしてしっとりした音色が素敵です。
※ 敬称略