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クラリネットの運指の基礎

クラリネット初心者にとって重要な学習項目のひとつ「運指」。
上達のベースとなる基礎を、佼成ウインドオーケストラのクラリネット奏者、大浦綾子さんに教えていただきました。
練習を始める前に知っておきたいこと
自然な構え方
運指を覚える前に、楽器を構える時の手指のかたちを確認しておきましょう。
スムーズな指の動きのためには、正しい構え方が大切です。
指は力を抜いて自然に丸くなったかたちで、左手の人差し指・中指・薬指が上管の3つのトーンホールの上に、右手の人差し指・中指・薬指が下管の3つのトーンホールの上にそれぞれ来るように構えます。
左右の小指は図1のキーの上です。
これが基本のポジションとなります。

写真1 構え

図1 左右小指の位置
「はじめてのクラリネットWEBサイト」の「オンライン運指表」で説明します。
イラストは楽器を正面から見た図で、色の塗られたトーンホールまたはキーを押さえると示した音が出ます。
図の一番上の菱形は楽器裏側のレジスターキーで、ラのキーの左にあるマルはレジスターキーの下にあるトーンホールです。
それぞれの音において、最初に示された運指が基本の運指で、(替え指)をクリックするとよく使う替え指が出てきます。
なお、クラリネットの音は、実音(ピアノの音)よりも1音低い音が出ます。例えばクラリネットのドレミは、ピアノのシ♭ドレになります。

図2 オンライン運指表
音階の様々な音を出してみよう
左手を押さえてみよう
まずは鳴らしやすい左手から練習しましょう。
何も押さえない開放のソから、ファ(親指)→ミ(人差し指)→レ(中指)→ド(薬指) と下りていきます。
ファのときにレジスターキーに触らないよう注意しましょう。
右手を押さえてみよう
次は右手の練習です。
右手は親指で楽器を支えているので、慣れるまでは少し動かし辛いかもしれませんが、できるだけ指の力を抜いて動かしましょう。
ドから、シ(中指)→ラ(人差し指)→ソ(薬指)と下りていきます。
薬指のトーンホールは少し広くなっていて、指が細いと塞がりにくいので、隙間が開かないよう注意しましょう。
小指を押さえてみよう
次は左右の小指です。
ファ(右小指)→ミ(左小指) このミが最低音です。
小指を押さえる時も力が入りすぎないように注意しましょう。
レジスターキーの練習をしよう
裏側のレジスターキーは親指の隅を使って、トーンホールと同時に押さえます。
親指の角度に注意しましょう。

写真3 レジスターキー 良い例

写真4 レジスターキー 悪い例
左手でドを押さえながら、第一関節から先を動かしてレジスターキーを同時に押さえてみましょう。
高いソの音が出ます。
いろいろな音でレジスターキーを押す練習をしましょう。
ラ・ソ♯・ミ♭ のキーの指のかたち
左手ラとソ♯、そして右手ミ♭ のキーは、指の側面で押さえます。
基準のポジションから、指のかたちを変えずに手首を回してそれぞれのキーに指を当てます。

写真5 ラ

写真6 ソ♯

写真7 ミ♭(レ#)
半音階を覚えよう
トーンホールやキーを押さえるのに慣れてきたら、半音階の運指を覚えましょう。
半音階を吹くときの正しい運指は一つだけで、上りも下りも同じです。
「はじめてのクラリネットWEBサイト」の「オンライン運指表」に載っています。
音を順番に送って行くと、動画のように見えて半音階の運指がわかりやすくなっています。
ぜひ活用してみてください!
半音階は上りより下りの方が難しいので、下りをたくさん練習するようにしましょう。

大浦 綾子さん プロフィール
東京佼成ウインドオーケストラ奏者
洗足学園音楽大学客員教授
武蔵野音楽大学卒業、東京芸術大学大学院修了。在学中、第55回日本音楽コンクール入選、第6回日本管打楽器コンクール第2位入賞。1990年日本演奏連盟の主催により東京文化会館小ホールにてデビューリサイタルを開催。同年フランスに留学。1992年パリ12区コンセルヴァトワールを満場一致の一等賞を得て卒業。帰国後、第63回日本音楽コンクール入選、第9回日本管打楽器コンクール第3位入賞。2001年東京佼成ウインドオーケストラに入団。2010年デビュー20周年を記念して浜離宮朝日ホールにてリサイタルを行う。同時にソロアルバム「Grand Duo Concertant」をマイスター・ミュージックからリリース。
現在、東京佼成ウインドオーケストラクラリネット奏者、洗足学園音楽大学客員教授、木管五重奏団「アミューズ・クインテット」メンバー。